【連載記事 ロジカルシンキング編】 因果関係と相関関係 ~それって本当に原因ですか?~

因果関係と相関関係 ロジカルシンキング編

今回は『因果関係』と『相関関係』の話です。

内山:「どちらも良く聞く言葉ですけど、混同しやすくてややこしいですよね」

岡崎:「だから今回のテーマで2つの違いを改めて知っておこう!」

因果関係と相関関係

では、まず「因果関係」と「相関関係」の言葉の定義を簡単に説明しておきましょう。

<因果関係>

『Aが発生したことによって、Bが起こると言い切れるもの(原因と結果の関係があるもの)。A→Bの関係になっているもの』

こうやって書かれると分からないですよね?なので、例をあげると…
交通事故件数と交通事故死亡者数の関係には因果関係があります。

「交通事故が起きるから→交通事故死亡者が起きる」わけです。逆に言ってしまえば、交通事故が起きなければ交通事故死亡者も出ないわけです。

また、因果関係では「A→B」の関係が一方通行です。どういうことかというと、「交通事故が起きるから→交通事故死亡者が出る」は成り立ちますが、逆は成り立たないです。(これを不可逆性と言います)

これが、「因果関係」です。

内山:「Aが起きたからBが起きたと『言い切れるもの』が因果関係ですね」

<相関関係>

『Aが変化したらBも変化するという関係。だだし、Aが変化したことによってBも変化するとは言い切れないもの』

これも言葉だけだと分からないので、例をあげます。
例えば、「車の保有台数」と「交通事故」の関係は相関関係です。

「車の保有台数の増加に伴って、交通事故も増加する」という関係は存在したとしても、必ずしも「車の保有台数の増加」が交通事故の原因だとは言い切れないですよね?

これが相関関係です。

岡崎:「関係がありそうだけど、必ずしもAが変化したからといってBが変化するとは『言い切れない』ものが相関関係だな」

因果関係は相関関係の一部

さて、ここまで読んで「因果関係と相関関係って同じように感じるな…」と思った方もいるかもしれません。

そうです。実は因果関係と相関関係は元々同じものです。どういうことかと言うと、『因果関係は相関関係の一部です』
つまり、因果関係とは相関関係の中で「AだからBが起こる」というメカニズムがはっきり分かっているもののことを言います。だから、「因果関係にある要素Aと要素Bは相関関係にもある」と言えますが、「要素Aと要素Bが相関関係にあるからと言って、この2つが因果関係である」とは言えません。

内山:「相関関係の中から厳しい審査を潜り抜けた選ばれし者が因果関係になるってことですね」

何が言いたいのかというと、
「2つの出来事や要素が関連しているからといって、必ずしもその2つが原因と結果の関係にあるとは限りませんよ」
「要素Aを変化させたら要素Bも変化したから、要素Bの原因は要素Aだ!と安易に考えてはいけませんよ」
ということです。

世の中には一見「因果関係(原因と結果)」と思われていることが、実は「相関関係」にあることがよくあります。
よくある「一見因果関係があるように見えるけど、よく考えたら相関関係」な事例を少しあげます。

よくある事例

①「毎朝子供に朝食を食べさせれば成績が上がる」

まずこれです。毎朝朝食を食べる家庭の子供の成績と食べない家庭の子供の成績を比較して「ほら、朝食食べる子供の方が成績いいでしょ?だから、お宅のお子さんの成績が上がらないのは朝食を食べさせていないからですよ!」という主張です。

これですが、別に「朝食」と「成績」に因果関係はありません。ただ、相関関係が存在するのみです。じゃあ、朝食食べなかったら成績が上がらないのかって言ったらそうじゃないですよね?この場合は、朝食を毎朝食べさせる→規則正しい生活を送らせる→毎日勉強時間を確保させる→成績が上がる。というロジックが働いているように思います。だから、成績が上がった原因は「勉強時間を確保した」からであって、「朝食を食べた」からではありません。

②「毎日健康サプリを飲んだから、毎日元気!!」

これもよくありますね。「毎日サプリを飲んだ人と飲んでいない人の血糖値を比較して…」みたいなやつです。これも、大概因果関係はないです。そもそも健康サプリを毎日飲むような人は健康に対する意識が高いですし、規則正しい生活を送っています。食生活にも気を付けるでしょう。だから、健康サプリが健康になった原因とは言い切れません。

③「トイレを掃除したら会社の業績が上がる!」

最後はこれです。「うちの会社は社長自ら毎朝トイレを掃除するようになったら、業績が急上昇!!」みたいな話がよくありますが、別に会社の業績とトイレ掃除に因果関係はありません。この場合は、社長がトイレを掃除する→従業員も掃除をする→環境が良くなる→士気向上→従業員が積極的に→改善のアクションを取る→業績アップというメカニズムが働いているのであって、トイレ掃除が原因で業績がアップしたわけではないです。

このような感じで他にも色々事例はあります。色々探してみると面白いです。ただ、一つ言っておきたいのは、別に私は「因果関係=良いもの(意味あり)」「相関関係=悪いもの(意味なし)」と言っているわけではないです。朝食を食べることも、サプリを飲むことも、トイレ掃除も非常にいいことです。だからやって頂きたいです。効果も出ると思います。ただ、安易に相関関係を因果関係と思い込んで、「じゃあ、これだけやってればいいんだな」と考えないで頂きたいということです。

内山:「一見因果関係があるように言われていることでも、『本当にそれって因果関係か?』って考えてみることが大切ですね」