【MaaS編】MaaSって何?(全7章)

MaaS編 連載記事

第1章 マイカーを所有するためのコスト

今回から新シリーズ「MaaS編」開始です。今回のシリーズでは、今回の連載記事では話題となっているMaaSとは何なのか?MaaSによってどのようなサービスが提供され、社会はどのように変わっていくのかを書いてみました。

マイカーを使っている時間

今回から新シリーズ「MaaS編」開始です。

内山:「早速ですが、MaaSって何ですか?」

MaaSが何なのか説明する前にまずは質問です。内山さん自家用車持っていましたよね?

内山:「はい。持ってますよ」

その自家用車ですが、日々何時間ぐらい使っていますか?

内山:「大体ですけど、平日は通勤で1時間ぐらい。休日は1日1.5時間ぐらいですかね…」

そうすると、ざっくり計算して月34時間くらいですね(平日1時間×22日+休日1.5時間×8日)。岡崎さんも同じぐらいですか?

岡崎:「そうだな。俺は通勤時間が内山君より少ないから平日利用時間はもう少し少ないけど、ほぼ同じくらいじゃないかな」

自動車の所有コスト

車両の購入費

では、次の質問ですが、自動車を所有するには毎月どれくらいのお金が掛かっているでしょうか?内山さん。今乗っている車はいくらで買いましたか?

内山:「280万円ぐらいですかね」

岡崎:「俺は…」

岡崎さんの車の値段は聞いても参考にならないので、教えてくれなくても大丈夫です。

岡崎:「何でだよ?」

だって、ブガッティ・ヴェイロンに乗っているんですよね?

岡崎:「乗ってねーよ!どうやったらあんな車買えるんだよ!!」

大富豪の岡崎さんならそれくらい楽勝で買えると思うんですけど…。まあ、いいや、ランボルギーニにでも乗っているということにしておきましょう。

話を元に戻しますね。内山さんは250万円で車を買ったわけですが、その車は何年くらい乗りますか?

内山:「7年くらいですかね」

そうすると、年間コストは36万円弱ということですね。月にすると3万円です。

車検・税金・メンテナンス費

次に、車検や税金、メンテナンスに掛かる費用を計算してみましょう。まず車検ですが、7年目の車検前に買い替えるとすると、車検は2回です。車検費用が1回12万とすると12万円×2回で24万円掛かることになりますね。自動車税は年間3.6万円ぐらいですか?

内山:「まあ、それくらいですかね」

では、車検・税金は月額約0.6万円ですね。

メンテナンスは何とも言えないですけど、消耗品の交換、点検、洗車費用等々含めて年間5万円くらいとしておきましょう。月額換算すると、約0.4万円です

駐車場・ガソリン代・自動車保険

日々使うガソリン代と駐車場代も計算してみましょう。駐車場代は毎月いくら払っていますか?

内山:「7千円くらいですかね」

地方は駐車場代が安くていいですね。続いてガソリン代ですが、これは1か月の運転時間から計算してみましょう。先ほど内山さんの月間の運転時間は34時間という話でしたので、この数字をベースに計算してみます。

まず、車を運転しているときの平均速度を約30km/hと見積ります。そうすると、月間では34時間×30km/h=1020kmです。計算が面倒なので1,000kmとします。燃費は12L/kmとしましょう。すると、ひと月に使うガソリンは83Lです。レギュラーガソリンが今は約140円/Lなので1か月のガソリン代は約12,000円です。ガソリン代に関しては変動が大きいですが、今回は1.2万円で計算します。

最後は自動車保険です。これはざっくり月額0.7万円としておきます。

車の維持費

では、内山さんの車の所有に掛かる月間のコストを計算してみます。

購入費:3万円
車検・税金・メンテナンス代:1万円
駐車場・ガソリン・保険代:2.6万円
合計:6.6万円

かなり概算ですが、内山さんの車の維持費は月間6.6万円程度と出ました。

マイカーのコストパフォーマンス

長々と書きましたがここからが今回の本題です。ここまで内山さんの月間の車を使う時間と所有コストの計算をしてきたわけですが、この2つの関係を見てどう思いますか?

内山:「薄々気が付いていましたけどコスパ悪いですよね」

岡崎:「月に34時間しか使っていないものに7万弱使ってるからな」

そうです。月34時間というのは私たちが1か月に使える時間の5%弱です(34時間÷24時間×30日)。一方、内山さんの月の収入を50万円と仮定すると、6.6万円はそのうちの13%です。内山さんは一応中小企業の社長という設定なので、実際はもっと収入があると思いますけど。

内山:「僕の収入の話は止めて下さい。でも、こうやって比較するとやっぱりコスパが良いとは言えないですね」

ですよね。そんなコスパの悪いものにお金を掛けるくらいなら、別のことにお金を使った方が良いと思いますがどうでしょう?例えば、趣味や旅行にお金を使ったり、家にお金を使った方が良いと思いますが。

岡崎:「そうは言うけど、実際車が無かったら生活困るだろ?特に地方は車が無いと移動が出来ないんだよ」

そうです。問題はそこです。みんな自家用車にはお金が掛かることを認識しながらも、今までは自家用車を使う以外に移動する方法が無いから、コスパの悪さを受け入れていました。しかし、もし自家用車が無くても便利に移動出来る方法が出来たとしたらどうでしょう?

内山:「そんな方法があるんですか?」

それが、「MaaS」です。

MaaSとは?

MaaSとは(Mobility As A Service)の略称で、移動手段をサービスとして利用することの総称です。これまでの自家用車のように移動手段を各自が「所有」するのではなくて、使いたいときに使いたい分だけ「利用」出来るようなサービスを提供しようとする動きのことです。

内山:「所有から利用?」

コンピューターソフトや音楽業界に起きた動きに例えると分かり易いです。例えば、ソフトウェアは何年か前まではソフトウェアを買って使うことが一般的でした。それが今では多くのソフトウェアはクラウドサービスを利用することで使えるようになりました。音楽は昔はCDを買って聞くものでしたが、今では配信サービスを使えば聞きたいときに聞きたい音楽を聞くことが出来ます。これと同じことを交通分野で起こそうとするのがMaaSです。

岡崎:「なるほど。で、具体的にはどんなサービスが提供されるんだ?」

それについてはこれからこのシリーズの中で順次説明していきますので、お楽しみに!

第2章 MaaSで提供されるサービス 配車サービス・乗り合いタクシー

さて、今回からはMaaSで提供されるサービスについて説明をしていこうと思っていますが、その前に少し確認しておきたいことがあります。

ラスト・ワン・マイル問題

前回、自家用車に掛かるコストを計算して、「コスパが悪い」という話になりました。ただ、コスパが悪いということは分かっていながらも、特に地方の場合は「足が無いから車を持たざるを得ない」という話にもなりました。ここで一つ疑問ですが、本当に地方に住んでいる人は車以外の移動手段が無いのでしょうか?

岡崎:「えっと、実はあるにはあるんだよ。電車も走ってるし、バスもあるからな…」

ですよね?本数は少ないにしても、大抵の街には電車やバスなどの公共交通機関があります。自家用車以外の移動手段はあるんです。だとしたら、自家用車ではなくそれらの手段を利用して移動をすれば良いと思いますがどうでしょう?

内山:「言っていることは分かるんですけど、公共交通機関を使うのって面倒だったりするんですよね…」

ほう?それはなぜ?

岡崎:「駅やバス停まで移動しなきゃいけないだろ?歩いていくことも出来なくはないけど、時間が掛かるし、疲れるしで面倒なんだよ」

そうです。今の社会の問題点はそこです。公共交通機関があるにも関わらず、そこまで行くための手段が無いから私たちは自家用車を使わなければいけないんです。実際私も駅まで行って電車で移動すれば車を使わなくてもいいのですが、自宅から駅まで1.5kmぐらいあるので、電車で行ける場所であってもついつい車を使ってしまいます。
そして、この駅やバス停から目的地まで移動するための適当な手段が無いという問題のことを、「ラスト・ワン・マイル問題」と言います。

内山:「ラスト・ワン・マイル?」

1マイルはおおよそ1.6kmです。歩けなくはないけど、歩くのはちょっと面倒な距離ですよね。私たちはこの1マイルを移動するための適当な手段が無いから自家用車に頼らなければならないんです。逆に言ってしまえば、ラスト・ワン・マイルの移動が便利になれば、私たちは自家用車に頼らなくても済みます。そして、MaaSで提供されるサービスの多くはこのラスト・ワン・マイルの移動を便利にすることを目的としています。

では、具体的にどのようなサービスが提供されようとしているのかを見ていきましょう。

配車サービス

岡崎さんと内山さんはラスト・ワン・マイルを移動するときに、自家用車が使えないとしたらどんな方法で移動していますか?

岡崎:「大抵はタクシーだな」

内山:「僕もそうですね」

なるほど。では、2人とも明日から自家用車を使うのを止めて駅までタクシーで移動して、そこから電車で移動するということをしてみてはどうですか?自家用車要らなくなるかもしれないですよ?

岡崎:「そう簡単にはいかないんだよ。タクシーってそれなりにお金掛かるし、捕まらないこともあるからな」

ですよね。便利なようで色々な制約があって手軽に使いづらいというのが今のタクシーです。でも、MaaSではタクシーよりも手軽に使えるサービスが提供されます。それが「配車サービス」です。日本ではまだ提供されていませんが、海外では一般的になっていますね。

岡崎:「ウーバーやリフトが有名だな」

内山:「配車サービスと従来のタクシーって何が違うんですか?」

まずは捕まえやすさが違いますね。配車サービスはマッチングシステムが優れているので、一番近くにいる車をすぐに呼んでくれて、待ち時間無く乗れます。社内で決済も無いのでスムーズに乗り降り出来ます。あと、料金も安いと言われていますね。

サブスクで「半径〇〇km以内なら定額で乗り放題」みたいなサービスが提供されるとすごく便利です。ただ、日本だと白タク問題があるので、このあたりを何とかして欲しいところです。

デマンド型乗り合いタクシー

タクシーの料金が気になるなら「デマンド型乗り合いタクシー」というサービスもありです。

岡崎:「同じ方向に行く人たちが同じタクシーに乗って移動するってことだな」

乗り合いタクシーならタクシーよりも低料金で利用出来るので経済的な負担は軽くなります。

内山:「デマンド型というのはどういうことですか?」

実は乗り合いタクシー自体は前からあるんです。私たちはコミュニティー・バスと呼んだりしていますが。デマンド型というのはそれとは違って、利用者のニーズに応じて、指定時間に指定場所に来てくれたり、停留所以外の任意の場所で乗り降り出来るものを指します。配車サービスの大型版といった感じですかね。

岡崎:「ある程度まとまった人数で移動するときは便利かもな」

高齢者の方には人気が出るかもしれません。アプリでウーバーを使いこなすおじいちゃん・おばあちゃんが増えてもかっこいいと思いますが、現実問題としてそれは難しいと思うので、高齢者の型が利用する施設、例えば病院や公共施設でデマンド型乗り合いバスを手配出来るようにして、それを利用してもらうといった運用が出来るようになると良いのかもしれません。

ということで、今回はMaaSで提供されるサービスとして配車サービスと乗り合いサービスの話をしました。次はもっと自由に移動手段を使いたいという方向けのサービス「シェアリングサービス」の話をしたいと思います。

第3章 MaaSで提供されるサービス その2 シェアリングサービス

第3章で配車サービスや乗り合いタクシーがラスト・ワン・マイル問題を解決する手段として提供されるという話をしましたが、今回はもう1つの主要なサービスの話をします。

内山:「それは何ですか?」

必要なときに必要な車を

「シェアリングサービス」です。カーシェアリングが分かり易いですね。

岡崎:「数年前から増えてきたよな。都市部だとコインパーキングとかに専用スペースあるもんな」

内山:「だけど、レンタカーとカーシェアリングってどう違うんですかね?」

最大の違いは短い時間でも利用出来るってことですかね。レンタカーは半日単位とかでしか借りられないですけど、カーシェアリングだと30分という短い時間でも借りることが出来ます。だから、「ちょっとお買い物」とか「送り迎え」といったことにも使いやすい仕組みになっています。

岡崎:「なるほど。ちょっと車を使いたい時に便利なサービスなんだな」

ただ、月額料金が固定費として掛かってきますけどね。でも、車を保有するコストに比べたら安いかもしれません。実際に某地方都市に住んでいる私の知り合いは、「車を持つよりもカーシェアリング使った方が得だ」ということで、自家用車を手放して車が必要なときはカーシェアリングを使うという生活に切り替えました。

自動車以外のシェアリングサービス

シェアリングサービスというと一般的には自動車を思い浮かべると思いますが、実は自動車以外のシェアリングサービスもあったりします。

内山:「自動車以外?他に何を貸すんですか?」

サイクルシェアリング

自動車以外のシェアリングサービスとして「自転車」のシェアリングサービスである「サイクルシェアリング」なんていうものもあります。仕組みはカーシェアリングと同じイメージです。

岡崎:「自転車のシェアリングは便利そうだな」

そうですね。駅から少し距離があるような場所に行くときは活躍してくれそうです。コンビニで借りられるサービスもあるので、もっと普及してくれると便利になります。

キックボードシェアリング

変わったところでは電動キックボードのシェアリングサービスなんていうものもあります。

岡崎:「電動キックボード?そんなの何に使うの?乗って遊ぶのか??」

いやいや、立派な移動手段です。日本だと法律の関係でこれまでは公道を走れなかったですけど、海外だと結構使われています。私も海外に行ったときにおじさんがキックボードに乗っているのを見て最初は「いい歳したおっさんが何遊んでるんだ?」と思いましたが、違いました。

内山:「キックボードって便利なんですかね?」

うーん。使ったことが無いので何とも言えませんが、短距離の移動だったら便利なんじゃないですかね?これから各地で実証実験するようなので使える機会があれば使ってみたいですね。

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けいなび