【連載記事 ロジカルシンキング編】 目的と手段 ~「何のためにそれをやるんですか?」~

目的と手段 ロジカルシンキング編

今回からのテーマ『目的と手段』は、ロジカルシンキング編の中でもかなり重要なテーマです。

売上は何のために確保するのか?

多くの会社さんで課題になっている売上高の確保。よく聞く話です。さて、ここでひとつ考えてみたいことがあります。

「何のために売上は確保するのか?」

この答えはいくつか考えられると思いますが、一番オーソドックスな答えは『利益を確保するため』です。言い換えれば、利益を確保するという『目的』のために、売上を確保するという『手段』を取るのです。まあ、当たり前の話ですね。ところが、我々はいつの間にか利益を確保するという目的を忘れて売上を確保するという手段のみを一人歩きさせてしまうことがあります。

岡崎:「ありがちな話だな」

内山:「分かってはいるけど、ついついそうなってしまうんですよね…」

これを『手段の目的化』と言います。そして、この『手段の目的化』が発生すると、折角問題に対して対策を取ったのに
「こんなはずじゃなかった…」という結果に終わることがあります。何が起こるのかいくつか例をあげてみます。

手段が目的化することによる弊害

<A社の場合>

A社は数年収益状況が悪く、赤字続きの会社でした。その要因が売上高の減少にあると考えた社長は、社内で売上高アップの大号令をかけて、毎月の会議でも「売上はどうなった?」が口癖になり、売上を上げれば評価される。上げなければ怒られる。「売上が上がればOKなんだ」という風土が出来上がりました。

岡崎:「売上至上主義というやつだな」

その数年後…。A社の収益はどうなったか??
売上は確かに上がりました。しかし、赤字は解消されるどころか、増加しました。

内山:「A社にしてみたら『こんなはずじゃなかった…』って状態ですね」

では、なぜこんなことが起きたのか?
答えは、この会社の営業が売上高を確保するために、利益を考えず安い価格での受注を繰り返したから、また、生産を行う工場側も「売上が確保出来ればいいんでしょ?」と考えコストを全く顧みなかったから、加えて、経営陣も「売上が上がってるからOKだ」と考え、営業と工場にストップを掛けなかったからです。

この場合、本来の目的である、「収益を上げること」が認識されていれば、(売上高アップが目的化していなければ)誰かが、「おい!こんな利益じゃ、売上高上げても意味ないぞ」と言って、途中で軌道修正出来たかもしれません。

<B社の場合>

B社も収益状況が悪い会社でした。B社はA社と違い「利益」を重視していました。B社の社長の口癖は「今期も利益が出てないぞ!何とかしろ!!」でした。そこで、B社では”会計上の利益”を出すために、毎年期末になると売れる見込みのない在庫を大量に作り、利益が出たように見せてました。

岡崎:「会計上、期末を跨いだ在庫は期末棚卸として費用控除されるからな」

だから、帳簿上の利益はしっかり出てました。B社の経営陣は毎期決算書を見て「前期も利益確保出来たな、よしよし」とご満悦。

その数年後…。B社はどうなったか??
倒産しました。原因は「資金繰りの悪化」です。俗に言う「黒字倒産」でした。

なぜこんなことが起きたのか?
原因はキャッシュが無くなったからです。会社というのは、帳簿上の赤字が続いても、債務超過の状態になってもすぐに潰れることはありません。しかし、キャッシュ(現金)が無くなった瞬間にどれだけ帳簿上の黒字があろうと、資産があろうと倒産します。会計上の黒字が良しとされているのは、「会計上黒字ならキャッシュフローはプラスになるはず」という前提に立っているためです。言い換えれば、会計上の利益を出すことはキャッシュフローをプラスにするための手段と言えます。

内山:「この場合キャッシュフローが目的で、利益が手段ってことですね」

では、B社はどうだったのか?B社は売れる見込みのない在庫を大量に作って会計操作してましたよね?在庫というのは、売れなければキャッシュフローを悪化させます。もし、B社の誰かが本来の目的であるキャッシュフローに注目して、「売れない在庫増やして出した利益なんか何の意味もない!」って言っていればなんとかなったかもしれません。だけど、利益自体が目的化したB社ではそれは無理でした。

岡崎:「A社の例もB社の例も十分あり得る話だな」

内山:「そうですね。実際にあり得ることだからこそ『手段の目的化』には気を付けないといけないですね」

ロジカルシンキング編連載記事
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