YouTubeリンク

「小ロット生産」の効果

けいなび研修
スポンサーリンク

小ロット生産が出来ていない場合 ~生産ロットが大きいことによる弊害~

「小ロット生産」。少量多品種での生産を行う中小企業にとっては、「短納期化」と合わせて、重要になる能力です。

では何故「小ロット化」が必要なのか?まとめて作ったほうが経済的な優位性があるのではないか?

実際のところ、「同じものを・まとめて・多く」作ったほうが「規模の経済性」が働くため、1個当たりの生産コストは下がります。

しかし、同時にリスクもあります。「作ったモノが売れなかったらどうするのか?」という問題です。

例えば、「市場環境か変化し、これまでの売れ筋商品が売れなくなった」「製品に不具合が見つかり、売ることが出来なくなった」「モデルチェンジが行われたため、作った製品を使うことが出来なくなった」等のリスクです。他にも、「資金繰りが悪化する」というリスクもあります。

大量にモノを作れば、在庫として保管します。在庫が増えれば、保管料はもちろんですが、資金が循環しなくなるため、資金繰りが悪化します。

このように、生産ロット数の大小というのは、メリットがある反面、経営的なリスクも抱えているのです。

小ロット生産の効果

小ロット生産の効果2

小ロット生産が出来ている場合 ~小ロット化で出来ること~

小ロット生産を行った場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?主なものとしては以下の通りです。

需要の変化に対して柔軟な対応が出来る

市場環境が変化し、需要の動向が変わっても小ロットでの生産を行っていれば、変化に対応ができ、リスクを最小限に抑えることができます。

例えば、大ロットで製品をまとめて大量に作っておいた場合、まだ売れないものに関しては在庫として保有しておかなければなりません。ここで万が一、市場環境に大きな変化が生じて作った製品が売れなくなった場合、保有している大量の在庫がデッドストックになり、大きな損失を発生させる可能性があります。デッドストックとまではいかなくても、在庫が無くなるまでは保管コストが発生するため、企業にとっては負担になります。

一方、小ロットでの生産が行えるようになれば、市場の需要動向を見て細かい調整を行いながら生産が出来るため、売れないものを作ってしまうリスクを回避することが出来ます。また、在庫を持っていたとしても、大ロット生産の場合よりも量が少ないので、損失も少なくて済みます。

小ロット生産の効果3

資金繰りが改善する

大ロットでまとめて生産を行い在庫を大量に保有すると、その分だけ資金が固着します。

例えば、在庫を1ヶ月分保有していたとすると、今日生産した製品を作るのにかかった費用(資金)の回収は1ヶ月後です。単純に考えれば、この間1ヶ月分の運転資金を準備しておかなければなりません。

生産量(=取引量)が多ければ多いほど必要な資金も増え、中小企業にとっては結構な負担となります。

一方、小ロット生産で在庫を2週間分まで減らせば、資金回収は2週間後です。運転資金も半分で済みます。(運転資金の調達を借入で行っていれば、支払金利も半分です)

このように、小ロット生産を行えば資金の効率も改善し、資金繰りの負担も少なくなるのです。

小ロット生産の効果4

生産にスピード感・緊張感が出る

「変化への対応力」「資金繰り」は経営面での効果でしたが、これは工場の生産現場に直接影響する効果です。

小ロット生産を行った場合、在庫が少ないので生産のバッファーが少なくなります。

ということは、もし生産トラブルが起こった場合、すぐに対処しないと「ラインストップ」「納入遅延」等の問題が発生するので、すぐに現場は動きます。また、問題が顕在化するスピードも早くなります。つまり、小ロット生産により「問題発見」→「原因追究」→「対処の行動」のサイクルが早くなるのです。

しかし、現場の従業員の立場からしたら毎日毎日トラブルの対処に追われていたら、たまったものではありません。そこで、現場はトラブルを発生させないように、トラブルを未然に防ぐように緊張感を持った姿勢で仕事を行うようになります。このような姿勢で仕事を行うようになれば、「正常」と「異常」に敏感になり、管理能力が向上します。

また、トラブルに対処する、またはトラブルを未然に防ぐ方策を自分達で考えるようになり、改善を行っていく能力も向上します。つまり、従業員の能力が高まり、「人財」が育ってくるのです。

小ロット生産の効果5

※本記事はマスタープランズ・コンサルティングホームページ更新に伴い、ブログに掲載されていた過去記事(2014年11月掲載)を移転したものです。