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マイケルポーター3つの基本戦略 ~どのように他社と競争するのか?~

マイケルポーターの3つの基本戦略 けいなび研修
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経営戦略の有名な理論に「マイケルポーターの3つの基本戦略」というものがあります。

経営学の世界では有名なマイケル・ポーター氏が提唱した理論で、企業が競争していくためには「①コストリーダーシップ」「②差別化」「③集中」の3つの基本戦略があるというものです。とても有名な理論なので、どこかで見聞きしたことがあるでしょう。では、それぞれどのような戦略なのかを解説していきます。

マイケルポーターの3つの基本戦略

規模の経済性を働かせて価格で勝負 ~コストリーダシップ戦略~

「安さで勝負!」これが「コストリーダーシップ戦略」です。
この戦略では製品の品質や性能などは平均レベルにしておいて、安く仕入れて、安く作ることに徹底的にこだわります。自動車メーカーで例えると、トヨタやフォルクスワーゲンなどがこの戦略を取っていると考えられます。

この戦略で重要になるのは企業の規模です。規模の大きい企業が幅広い市場で受注を獲得し、規模の経済性を働かせながら低コストを実現していきます。規模が戦略の鍵となるので、ポーターの理論ではより多くの市場のシェアを獲得出来る業界のリーダー企業のみが取ることが出来る戦略であるため、リーダーに続くフォロワー企業はコストリーダーシップで戦うのではなく、次に説明する差別化や集中戦略で優位性を確保してリーダーに対抗すべきであるとされています。

他社との違いを打ち出す ~差別化戦略~

価格面ではなく品質や性能・デザインなどで優位性を確保して競争をしていく戦略が「差別化戦略」です。自動車メーカーで言えば、メルセデス・ベンツ、ポルシェ、ボルボ、レクサスなどがこの戦略に該当するのではないでしょうか?この戦略を取っている企業の商品やサービスは少々値段は高いですが、その分価格を補って余りある売りがあります。

この戦略を取る際のポイントは「どこで差別化するのか?」という差別化ポイントの絞り込みです。「壊れない耐久性」で勝負するのか?「走行性能」で勝負するのか?「快適性」で勝負するのか?といった具合です。あれもこれもという姿勢で勝負すると失敗します。ポイントを絞り込んで「うちはここで勝負!」というこだわりを持ってブレずに進むことが勝負を分けます。

とは言っても、差別化する部分だけに特化して他がおざなりになってはいけません。例えば、「性能は良いけど、耐久性が無い」とか「品質はいいけどサービスが悪い」「納期が守られない」などということになるとお客様は離れていきます。差別化するポイントを伸ばしながらその他も平均点を取らなければならない。ということがこの戦略の難しいところです。

難しさはありますが、何か光るものを持っている企業であれば中小企業でも採用出来る戦略です。

ニッチな市場で勝負 ~集中戦略~

差別化戦略が商品・サービスの機能や特性に着目して絞り込みを行うのに対して、市場を絞り込んで特定の市場で勝負する戦略が「集中戦略」です。上2つの例に倣って自動車で例えるなら軽自動車・小型自動車市場に特化しているスズキなどが該当するでしょうか?

この戦略では全体は捨てて局地戦での勝利を目指します。先の尖ったキリを使って風穴を開けるイメージです。そして、戦略を成功させるポイントは自社にとって適切な市場を絞り込んで、その市場にいるお客様のことを熟知することです。一点に集中してリソースを投入して、お客様のニーズを満たすことが出来るかどうかが成否を分けます。

なお、集中戦略には「コスト集中」と「差別化集中」がありそれぞれ、「特定の市場でのコスト優位性」「特定市場での差別優位性」を確保していくものです。「大きな市場では勝てないが、狭くて地の利がある市場なら勝てる」という考え方ですね。

古来より集中戦略は小が大に勝つための戦略、つまりは弱者の戦略のひとつとされており、歴史上この戦略を取ることで勝利を得た例がたくさんあります。例えば、織田信長の桶狭間の戦いや源義経の鵯越の逆落としなどが有名です。そのため、現代でもこの戦略で勝負している中小企業は数多く存在しますので、基本戦略を決める際の第一候補として検討されることもありだと考えます。