今回は「ピラミッド型組織」と「ネットワーク型」組織の特徴とそれぞれが持つメリットとデメリットについて解説していきます。
ピラミッド型組織の特徴とメリット・デメリット
ピラミッド型組織とはその名の通りピラミッドの形をした組織のことです。図にすると下のような図のイメージです。
ピラミッド型組織は階層構造になっているので、階層型組織と呼ぶこともあります。また、組織内の序列が組織の形に表れているのでヒエラルキー型組織とも言います。
ピラミッド型組織は組織内での序列や上下関係がはっきりしているので、責任と権限の所在がはっきりしており、指揮命令系統が分かり易いという特徴があります。また、役割も明確に決めやすいため、分業化が行い易いと言うことが出来ます。
そのため、ピラミッド型組織にはトップダウンで組織を動かしやすいというメリットやシステマチックに組織を動かしやすいというメリットがあります。このようなメリットがあるので、官僚機構や多くの会社で採用されています。規模が大きい組織には適していると言えるでしょう。
一方、デメリットとしては組織が大きくなるほど組織内の階層が増えるため、情報の伝達スピードが遅くなるというデメリットがあります。また、情報のやり取りが少なくなるため組織が硬直する傾向もあります。ですから、早急に情報を伝達してスピーディーに意思決定を行う必要がある組織には向きません。
少し話が脱線しますが、シンゴジラという映画の中で自衛隊がゴジラに攻撃を開始しようとしたところ民間人を発見して攻撃を中止するシーンがあります。ヘリコプターのパイロットが「射撃の可否を問う!」と部隊の上官に伝え、その上官がさらに上の上官に「射撃を可否を問う!」と伝え、さらに上官が自衛隊トップに射撃の可否を問い、自衛隊トップが防衛大臣に可否を問い、防衛大臣が総理大臣に可否を問うシーンです。
見ている私たちからすると間の抜けたシーンに見えますが、あのシーンはピラミッド型組織の悪いところを典型的に表しています。
ネットワーク型組織の特徴とメリット・デメリット
このようなピラミッド型組織の問題を解決するために登場したのがネットワーク型組織です。ネットワーク型組織は階層が存在せず、蜘蛛の巣をつなぎ合わせたような形をしています。インターネットを表す模式図をイメージしてもらえると分かり易いかもしれません。
ネットワーク型組織は階層が存在しないため、組織のメンバーがフラットに繋がりを持つことが出来るという特徴があります。そのため、情報がスムーズにやりとりされ、素早く意思決定がされたり、組織内で自由に意見を出し合えるというメリットがあります。
ですので、比較的規模が小さい組織や風通しの良さを重要視する若い企業で採用されるケースが多いように感じます。
意思決定が早く、風遠しが良くて自由な雰囲気の組織というと非常に魅力的に感じられますが、ネットワーク型組織にもデメリットはあります。ネットワーク型組織はピラミッド型組織のように階層構造があるわけでは無いので、役割分担と責任の所在があいまいになりがちです。また、組織のメンバー個人を縛る要素が無いので、個人個人がバラバラな行動を取って組織としてのまとまりが無くなるリスクもあります。
これらのデメリットを無くすためには、組織の目的を明確に定めるとともに、個人の高い責任感と自己管理能力、問題解決能力を高めていく必要があります。逆に言ってしまえば、明確に組織としての目的が定まっており、個人の能力も高い組織であればネットワーク型組織を採用してそのメリットを十分に享受出来るということです。
ピラミッド型組織からネットワーク型組織への移行手順
ネットワーク型組織に魅力を感じてピラミッド型組織からの移行を検討されている場合は、いきなり組織の形を変えるのではなく、次のような手順で移行を検討されてはいかがでしょうか?
STEP1 組織の目的を明確にして、メンバーに浸透させる
まずは、組織の理念・ミッション・ビジョンなどを明確に決めて、それをメンバーと共有し組織内に浸透させましょう。
STEP2 少人数のプロジェクトを行って責任感と管理能力、問題解決能力を養う
少人数のプロジェクトを通して個人の能力を高め、ネットワーク型組織に適した人材を育成しましょう。少人数のプロジェクトはコミュニケーションが取りやすい環境を作るためにも有効です。
STEP3 コミュニケーションが取りやすい環境を作る
ネットワーク型組織の魅力は風通しの良さにありますが、それもメンバーが活発にコミュニケーションを取る風土があってのことです。ですので、組織の形を変える前にメンバーが積極的にコミュニケーションを取ることが出来る環境を事前に作っておきましょう。
(Toyama Suguru)
中小企業診断士事務所 マスタープランズ・コンサルティング代表
中小企業診断士。経営コンサルタントとして中小企業の経営コンサルティングを行っています。また、企業や商工会議所などでセミナー・講演会活動も行っています。著書:「小さな会社はまず何をすればいいの?~新米社長岡崎の10の物語~」
お仕事のご依頼は問い合わせフォームからお願いします。