生産能力が不足している場合 ~生産余力が無いことによる弊害~
生産能力が不足している=生産の余力がない状態は、会社の成長を阻害してしまいます。
例えば、生産の余力がないため「納入遅延が慢性化する」「新規の仕事が受注出来ない」
社内で仕事をこなせないため、外注先に頼り「限界利益が減少する」
従業員の仕事の負荷が高く「教育・多能工化が出来ない」
モノを作ることのみに時間を取られ「改善をする時間が確保出来ない」などです。
「フル生産で余力が無いほど仕事がある」
この状態は一見羨ましいですが、このままでは今は良くても会社の将来を考えると望ましい状態ではありません。
生産能力がある場合 ~生産能力を強化して出来ること~
では、生産能力を強化した場合、どのようなことが可能になるのでしょうか?
注意して頂きたいのは生産能力を強化する「だけ」(時間当たり10個出来ていたものを20個出来るようにするだけ)では効果はあまり無いということです。生産能力の強化というのはその後に実施する「+α」のアクションを伴ってこそ、本当の効果を発揮します。
新規の仕事を受注する
では、「+α」のアクションとしては何が出来るのか?まず、あげられるのが「新規の仕事の受注」です。
生産能力を強化して創出した余力を使って新しい仕事を引受ければ、売上・限界利益が増加し、収益が向上します。
また、余力を使って試作品やサンプルを作成し、仕事の受注に繋げる活動をすることも出来ます。
内製化を進める
新規の仕事の受注のために営業活動を行っても、景気や競合他社・お客さんの発注方針等の影響でなかなかすぐには新規の仕事を確保出来ないケースもよくあります。
そのような場合、余力を使って内製化を進めることにより、限界利益を高め、収益を向上させることが出来ます。
生産コストの削減
生産能力が向上すれば、それまで発生していた残業代やエネルギー費などの変動費はもちろん、余力が生まれることによって省人化が可能となり、人件費の抑制にも繋がります。
従業員の教育・多能工化
余力を活用することで、従業員の教育や多能工化を行うことも出来ます。
これは新規の仕事の受注や内製化・生産コスト削減と違い、直接収益には影響しませんが、会社の足腰を鍛え、将来の競争力強化に繋がってくる重要な効果です。
改善工数の確保
現場の改善を行うためには、多くの工数が必要です。
「改善をしよう!」と号令を出しても、日々の生産負荷が高い状態では、現場の従業員の方も目の前の生産をこなすだけで手一杯になり、物理的・精神的にも改善を行っている余裕はありません。しかし、生産に余裕が出来れば改善に使える時間が生まれます。この時間を使えば「改善提案を考える」「QC活動を行う」等の改善活動が行えます。
また、余力が生まれたことにより、省人化が可能になれば、浮いた人財を活用して「改善班」等の改善専任チームを組織し、これまで現場の作業者個々人のレベルでは難しかった大きな改善に取り組むことも出来ます。
どのような手段を取るにせよ、重要なのは「地道に」「継続して」「自主的に」改善を行っていくことです。そのためには、まず日々の業務の負荷を軽減し、改善に使える工数を増やすことが必要になります。
※本記事はマスタープランズ・コンサルティングホームページ更新に伴い、ブログに掲載されていた過去記事(2014年10月掲載)を移転したものです。
(Toyama Suguru)
中小企業診断士事務所 マスタープランズ・コンサルティング代表
中小企業診断士。経営コンサルタントとして中小企業の経営コンサルティングを行っています。また、企業や商工会議所などでセミナー・講演会活動も行っています。著書:「小さな会社はまず何をすればいいの?~新米社長岡崎の10の物語~」
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