【組織編】組織って何だ? ~組織を作るための3つの条件~(全10章)

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※本記事は2016年5月から6月までメルマガで配信した記事の内容を再構成したものです。

第1章 組織と集団の違い

組織編の第1章のテーマは「組織と集団の違い」です。組織を作っていく上で組織と集団の違いを知っておくことは重要なことなので是非ご一読下さい。

組織と集団の違い

組織と集団ですが、一見同じように見えます。「人が集まっている状態」という面では同じですからね。ただ、この2つには大きな違いがあります。では、何が違うのかというと…。

まず、集団というのは人の集まりです。何となく人が集まっている状態であればそれは集団です。この集団が…

①構成メンバーが『共通の目的を持つ』
②構成メンバーの間に『役割(責任)が存在する』
③目的を達成するための『行動が統制されている』

これら3つの要素を持つことで、集団は組織に進化します。

例をあげて説明すると…

おじさんたちの草野球チームAとチームBがあったとします。年齢層等々は両チームとも同じです。

チームAはおじさんたちがなんとなく「野球好きが集まって楽しくやろう」ということで週末に集まって練習して、たまに他チームと試合をして、飲み会をして…。このような感じです。この場合、チームAは集団です。

岡崎:「明確な目的も、役割も無いしメンバーの行動を統制するわけでもないから集団ってことだな」

一方、チームBも活動自体は一見同じような感じですが、「地区で一番強いチームになる」という目的をメンバー全員が持っています。また、メンバーの中で監督をやる人、マネージャーをやる人会計をやる人などが決まっており、それぞれが役割をこなします。そして、このチームは毎週末決まった日時に練習があり、毎月試合が計画されています。練習の後にはチームミーティングもあります。この場合、チームBは組織です。

内山:「目的があって役割も決まっているし、ルールに基づいて活動しているから組織ってことですね」

学生の時のイベントで強いクラスと弱いクラスがあったのはなぜか?

皆さんが学生のとき(中学とか高校のとき)体育祭とか合唱大会とかクラス対抗のイベントがありましたよね?あのとき、やたら強いクラスと弱いクラスがあったのはなぜでしょう?

強いクラスには「運動神経がいい奴が集まっていたから」ですか?
弱いクラスには「音痴しかいなかったから」ですか?

内山:「うーん。何でだろう?強いクラスにも運動神経悪い奴はいたし、弱いクラスにも歌が上手いやつはいたけどなぁ」

岡崎:「学生のころは個人の能力の差だと思ってたけど、違いはそこじゃないな」

そうですね。岡崎さんが言うように個人の能力差ではありません。そもそも普通の学校で個人の能力の差なんて大してありません。それに、クラス編成のときに「運動神経いい奴を集める」とか「歌が上手い奴を集める」とかそんな偏った編成はしません。

では、何が違ったのか?思い出してみると、強いクラスには「皆で優勝しよう」という雰囲気があったり、リーダー格の奴がしっかりしていたり、毎日練習したりしてませんでしたか?

内山:「確かにそうだ」

つまり、強いクラスは組織になっていたのに対して、弱いクラスは集団のままだった。この違いが強いクラスと弱いクラスの違いです。今回は例として学校のクラスをあげましたが、これは学校でも、会社でも、地域社会でも国でも同じことです。

組織が出来るまでのプロセス

では、人はなぜ組織を作ろうとするのか?それは…

「1人ではやれないことをやるためです」

人間1人の力ではやりたくてもやれないことがたくさんあります。だから我々は仲間を集めて組織の力でやりたいことを実現していくのです。

実際に組織が出来ていくプロセスをざっくりと書くと下のようなイメージです。

STEP1「やりたいことを思いつく、とりあえず自分で頑張ってみる」

STEP2「一人で出来ることの壁に突き当たる」

STEP3「とりあえず、仲間を集めて頑張る」

STEP4「頑張ってはみたが、頭数を集めただけではダメだと気が付く」

STEP5「徐々に組織化していく」

このようなプロセスで組織は出来ていきます。さて、皆さんや皆さんの会社はどの段階でしょうか?

岡崎:「組織と集団の違いを理解してもらったところで、次は組織の条件1『目的を共有する』について説明していきます」

第2章 目的の共有

第1章では集団が組織に進化する要素として「目的の共有」と「役割」と「行動の統制」の3つの要素があるとお伝えしましたが、ここからはこの3つの要素のうち「目的の共有」について詳しく説明していきます。

組織の第1条件 目的の共有

「①目的の共有、②役割が存在する、③行動が統制されているだったな」この3つが組織になるための条件ですが、この中でも、「目的の共有」が最も重要です。はっきりとした目的があれば、そこに向かって組織のメンバーが団結出来ますからね。逆に目的が無いと、メンバー個々人がバラバラに動いてしまうので、組織としての団結力は生まれません。

内山:「だけど、目的を共有するって言っても中々難しいですよね?良い目的というか、共有しやすい目的ってあるんですか?」

皆が共有出来る目的の条件

内山さん。難しいことを聞いてきましたね…。
私も「目的を決めるときにどのような目的にすればいいのか」という問題はあれこれ考えたのですが、そんな中で、自分の経験を振り返ってみたり、色々な方のお話を聞いたり、企業の事例とか歴史の本とかを読んだりしているうちに「これは必要だな」と考えた条件をいくつか紹介します。

①シンプルであること
②分かり易い言葉で表現されていること
③組織のメンバーが「自分に関係する」と思えること

この3つの条件を満たすものが共有しやすい目的ではないかと考えています。

内山:「シンプルで分かり易くて、自分に関係すると思える目的か…」

それぞれの条件をもう少し詳しく説明していきます。

条件1「シンプルであること」

目的は出来るだけシンプルにする必要があります。出来れば1つ。多くても片手で数えられるぐらいが理想です。なぜかというと、目的が多くなると組織として何がしたいのかがブレるからです。

例えばある会社の目的が次のようなものだったとします…。
「わが社の目的は、品質が良い製品を安い価格でスピーディーに提供し、お客様の笑顔のために
おもてなしの心を持って対応し、従業員の生活を向上させながら世界に名だたる企業になること」

この会社何がしたいか分かりますか?何となく気概は伝わってくるかもしれせんが、「で、結局何がしたいの?」ってなりませんか?目的が多くなると何がしたいのかがブレるとはこういうことです。

内山:「確かに、あれもこれもってなると目的が不明確になりますね。『これがやりたいんだ!』ってことをビシッとひとことで語れるものがベストですね」

岡崎:「目的が複数ある場合は、『第1に〇〇、第2に〇〇』みたいな感じで優先順位を付けるって手もあるよな」

条件2「分かり易い言葉で」

目的は普段使っている分かり易い言葉で表現しましょう。変にかっこつけて普段使わないような言葉を使う必要はありません。

例えば…
「お客様を笑顔にする」を「お客様のCSを…」って言う必要はないですし、「お客様に気持ちよく過ごしてもらう」を「ホスピタリティーを…」と言う必要は無いです。

何となく横文字とか四文字熟語を使った方が、「目的決めたぞ!」って気もしますが、伝わらなければ意味がないです。

内山:「『CSって何?ホスピタリティーってどういうこと?』って思われたら意味がないですからね」

岡崎:「組織には色々な人がいるから、誰でも分かる言葉で表現することが大切だな」

条件3 「自分達に関係があると感じられること」

目的というものは「自分に関係ある」「自分にもメリットがある」と思うから共有が出来ます。メリットが感じられないと、「ふーん、頑張ってね」と思ってどこか他人行儀です。これでは「目的を共有している」とは言えません。

例えば、ある会社の目的が「規模を大きくして、日本一の会社になる」だったとします。これ一見良いように思えますが、そう思っているのは目的を作った側だけだったりします。共有するメンバーは意外と「日本一になるのは分かったよ。で、それで自分たちはどうなるの?」って思ってたりします。

目的を作る側はいいです。それなりの想いがあるので「日本一になったら、こうなる!」っていうのがイメージ出来ていると思います。しかし、メンバーの側がイメージ出来ているとは限りません。置いてけぼりになってるかもしれません。意外とここは盲点です。

内山:「リーダーの一人よがりでは良くないってことですね」

岡崎:「メンバーの考えや思いも聞いた上で目的を決めたら良い目的が出来そうだな」

第3章 自分の役割は何だ?

第3章では組織化の条件その2「役割(責任)が存在する」について説明していきたいと思います。

人を動かすためには役割が必要

皆さんは会社でも、学校でも、地域のコミュニティーでも良いのですが、自分がリーダーになったときに「メンバーが動いてくれない」ということで悩んだり困ったりしたことはありませんか?

そんなとき、メンバーを動かすために試して頂きたいことがあります。
メンバーに役割を与えてみて下さい。役割の中身はどんな小さなことでも良いです。
そうすると、役割を与えられた人は動いてくれるようになります。

内山:「そんなことで動いてくれるようになるんですかね?」

岡崎:「いや。意外と効果あるぞ。日常生活でも使えたりするし。内山君は救急車の正しい呼んでもらい方知ってる?」

内山:「救急車の正しい呼んでもらい方なんてあるんですか?」

岡崎:「まあ、ある種の例え話なんだけどな…」

岡崎さんの言っている正しい救急車の呼び方というのは、街中で救急車を呼ばなければいけない状況になったときに、
「誰か救急車をお願いします!」という言い方では駄目だという話ですね。

内山:「??? じゃあ、どうやって呼ぶんですか?」

岡崎:「『誰か』ではなくて『あなた!』ってお願いするんだよ。『そこの眼鏡の女性』とか『スーツを着た男性の方』って言い方でも良いけど、とにかく特定の人を指名してお願いするってこと」

私は幸いにも今まで街中で救急車を呼ばなければならない状況になったことはないので、実際に経験したことは無いのですが、このように人を特定してお願いをすると、その人が動いてくれると言われています。

役割を与えられることで責任感が生まれる

では、なぜ「あなた!」と指名をすると動いてくれるようになるのか?
それは、指名されたことによって役割が与えられて「その役割を果たさなければ」という責任感が生まれるからです。指名されることによって他人事が自分事になると言ってもいいでしょう。

内山:「なるほど。確かに指名されて役割が与えられたら責任を感じますね」

これは会社などの組織でも同じです。まとまりがある組織。メンバーが活発に動く組織ほど、一人ひとりに役割が与えられています。役割が与えられているからこそ、一人ひとりに責任感が生まれて動いてくれるようになります。

肩書はあるけど、役割は無し

組織の問題に悩む会社さんほど、役割が不明確なケースが多いように感じます。部長とか課長といった肩書はあるけど、では部長や課長が何をするのか決まっていなかったりします。

岡崎:「部長って肩書だけど、実際にやってることはプレイヤーと同じだったりするとかな」

そういう会社さんに限って、「部長が仕事をしない」とか「課長としての意識が…」という話が出てきたりするから困ったものです。役割が不明確なまま肩書だけ付けられている部長さんや課長さんが気の毒です。

このような会社さんは部長さんや課長さんの愚痴を言う前にまずは、社内での役割を決めましょう!
部長の役割とは何なのか?課長は何をすべきなのか?を決めましょう。肩書を基準にしなくても、入社年次などでも良いです。新入社員はこれが役割。入社3年目はこの役割。5年目からはこういう役割。といったように役割を決めましょう。

そして、その役割を本人に伝えて理解してもらいましょう。その人の資質や能力についてとやかく言うのはその後です。

内山:「確かに、何がその人の仕事(役割)なのか決められていないのに文句を言われるのはおかしいですからね」

杓子定規になり過ぎない

とはいうものの、役割が決められたからと言って「それは俺の役割じゃない!」と言って仕事を突っぱねるのも考えものです。

特に中小企業の場合は人手が少ないので、必ずグレーゾーンの仕事があります。そのような中で「俺の役割じゃない!」と言っていたら仕事が回らなくなります。そして、巡り巡っていずれは自分が困ることになります。

だから、役割を与えられたからと言って杓子定規な態度に出るのではなく、本来の役割を意識しつつも柔軟な姿勢で仕事をするようにしましょう。

内山:「助け合いとか持ちつ持たれつってことも重要ですからね」

岡崎:「それに、グレーゾーンが気になるようであれば、新たに役割を設置しても良いわけだからな」

第4章 責任と権限の話

「責任と権限一致の原則」

組織で役割を決めるときには「責任と権限一致の原則」というものがあります。これはどのような原則かと言うと…
「組織のメンバーに責任を与えたら、権限も一緒に与えないといけない」もしくは…
「権限を与えたら、責任も与えないといけない」
という考え方です。

私自身は
「役割(責任)を決めたら、出来る仕事の範囲(権限)も一緒に決めないといけない」
と解釈しています。

岡崎:「責任と権限はセットってことだな」

この考え方重要です。前回「肩書きを与えられたけど、何するのか分からない」ということを書きましたが、「肩書きを与えられたけど、どこまで自分が決めていいのか分からない」という問題も組織には結構あります。要は「決済権限がどこまであるのか分からない」というケースです。これは中小企業(大企業でも)では結構管理者の方から聞く悩みです。

内山:「『お前に任せた!』って言われたけど、どこまで自分で判断していいのかが分からなくて、結局何も出来ないってケースですね」

岡崎:「任せた方からしたら『やる気が無い』って思いがちだけど、実はそうじゃ無かったりするんだよな」

ちなみに逆のケースもあります。「勝手に判断して怒られる」ってケースです。「これぐらいいいだろ」ってことが「よくなかった」ってケースです。これも、権限の線引きをしておけばある程度は防げると思います。

岡崎:「ここまでは自分で判断してOK。ここからは相談が必要。って決めておくってことだな」

仕事を任せるということ

上で「責任と権限の原則」の話を書きました。一応これが原則です。でも、この原則に例外があります。「責任と権限が分離する状態」になることがあります。

それが「権限移譲」という行為です。簡単に言うと、「本来自分がやることだけど、部下に任せる」という行為です。権限移譲を行う理由は、「自分の負荷を減らすため」とか「部下を育てるため」とか色々ですが、皆さんも普段の仕事の中で行っていることだと思います。

責任と権限の原則からすると、権限を委譲すると責任もそのまま移譲すると考えがちですが、私は権限を委譲させても責任はそのまま残ると考えています。

内山:「例えば、上司から部下に権限を委譲しても責任は上司に残るってことですか?」

そうです。かと言って、部下の方が何の責任も負わなくても良いわけではないですが。

岡崎:「要は部下に権限を委譲しても上司としての責任は取れってことが言いたいんだろ?」

そうです。当然と言えば当然のことなのですが、たまにこのことが分かっていない人がいます。業務で何かしら問題が発生したときや、状況の報告を求められた時に「それは部下に任せているから私は知りません」というようなことを平然な顔で言う人です。酷い人ですと「それは部下がやったことだから私は悪くありません」と言い出したりします。

内山:「それは良くない。けど、残念ながらたまーにいるんですよね…」

岡崎:「『私は知りません・悪くありません』なんて平然と言うのは『私は責任を果たせませんので、この役割から外して下さい』って言ってるのと同じだと俺は思うぞ」

内山:「権限移譲をするときは『部下に任せたからといって、自分から責任が無くなるわけではない』と考えないといけないですね」