【ロジカルシンキング編】ロジカルシンキングの基本 ~問題の原因を分析し、解決する力を身に付ける~(全7章)

問題解決の基本 連載記事
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※本記事は2015年7月から10月までメルマガで配信した記事の内容を再構成したものです。

第1章 原因追究の基本 ~「なぜ」を常に考える~

今回はロジカルシンキング編の最初ですので、ロジカルシンキングの最も基本となる「なぜ?を考える」ということを中心に書いていきます。

ロジカルシンキングの基本は「なぜ?」を考えることから

論理的に物事を考えられる人とそうでない人の違いは何か?ひと言で言ってしまえば、この「なぜ?」を常に考えられているかどうかです。

逆に言ってしまえば「なぜそうなるの?」と聞かれたときに、「なんとなく…」とか「前からそうなってるから」とか「そういうものだから」としか答えられない場合は、論理的に物事が考えられていないということです。

内山:「う…。耳が痛い…」

これから今回のシリーズでは、論理的思考の技術や知識、考え方などを色々とお伝えしていく予定ですが、この「なぜ?」という思考が出来ていないと、いくら他の知識を学んでもあまり意味はありません。

極端なことを言ってしまえば、常に「なぜ?」と考える癖が出来ていれば、論理的思考が出来ていると判断してもいいくらいです。他のことは枝葉に過ぎません。

『なぜを5回考えろ!』

どこかで聞いたことありませんか?トヨタ関係の本を読むと必ずと言っていいほど出てくる言葉です。

恐らくトヨタ系の大手の会社に入ると新人はまずこれを叩き込まれます。何かあるとすぐ『なぜだ?』としつこく聞かれます。
正直、しつこく何度も『なぜ?』と聞かれると苦痛ですが、実はこれが論理的思考を養うための一番良いトレーニングです。

内山:「だけど、5回も『なぜ?』を考えることなんてそんなに出来ないですよね…。心が折れそう…」

岡崎:「大切なことは実際に5回考えられるかどうかじゃなくて、『それぐらい常になぜを考えろ』ってことだな」

素直な子供の気持ちで

さて、今回のテーマにしている『なぜ?』という問い掛けですが、私たちがいざ実践しようとすると中々難しいです。でも、これを何の抵抗もなく軽々と実践する人たちがいます。それが、小さな子供たちです。

小さな子供って結構「何で?」って聞いてきますよね?時には大人が返答を困ることも聞いて来たりします。皆さんも子供のころ大人にやたらと「何で?」って聞いていた記憶は無いですか?

大人になるにつれて中々出来なくなってくる『なぜ?』という問い掛けですが、実は私たちは子供のころは出来ているのです。つまり、論理的に物事を考えるための基本的な力は私たちに元々備わっているのです。だだ、大人になるにつれてその力を使わなくなって来ているだけです。

だから、論理的に物事を考える力を付けたいと思ったら、子供のころに戻って素直な気持ちで『なぜ?』という問い掛けをもう一度やるようにしてみて下さい。

内山:「確かに大人になってくると、色々なことが分かった気がして『なぜ?』って考えなくなってしまいますね」

岡崎:「そうだな。だからこそ普段から意識して、ちょっとしたことでも『なぜ?』って問い掛けをするようにすることが大切だな」

第2章 因数分解という考え方 ~問題を細かく分解して原因を考える~

私たちが仕事や日常生活で直面する問題は1つの要素だけではなく、複数の要素が複雑に絡み合った状態で存在します。そのような状態の中で、問題の原因を的確に探っていくためには、問題の構成要素を細かく分解していく「因数分解」が必要です。

因数分解って何だったっけ?

本題に入る前にまずは因数分解ってなんだったっけ?という話から始めます。少し中学生のころを思い出して下さい。因数分解とは、我々が中学校のときに習った…

X2- X -6=(X+2)(X-3)
とか
X2+ 3X=X(X+3)

というものです。

当時必死に公式を覚えましたよね?あれです。でもこれ、何をやってるんでしょう?恐らく多くの人が、当時「これはそもそも何をやっているのか?」までは考えてないと思います。

内山:「僕も訳も分からず先生に言われるがまま問題を解いていました」

因数分解って何をやっているの?

因数分解で何をやっているのか?ですが、これは、問題の構成要素を分解しています。例えば上の式で言えば、"X 2- X -6"という2次式を"(X+2)と(X-3)"という構成要素に分解しています。

内山:「それは分かりましたけど、何のためにそんなことをするんですか?」

岡崎:「それは『複雑な問題を(より効率よく)解くため』」

岡崎さんが言っているように因数分解は複雑な問題を解くために行います。どういうことかと言うと…

例えば、
”X 2- X -6=0という方程式を解け”という問題があったとして、これを因数分解をせずに解こうとすると…

「えっと…X 2- X -6が0になる数字を見つければいいんだから…。"X=1" あっ、これだと"1-5+6"で"2"になるから違うな…。"X=2"これは計算すると、"4-2-6"で"-4"だ…。"X=3"おー、これなら"0"になるぞ…。あ…。でももう一つ答え見つけないといけないんだよな…。メンドクサイ…。」

ということになります。

岡崎:「まあ、実際はそんなことせずに解の公式ってやつを使えば解けるんだけどな…」

内山:「解の公式って何でしたっけ?」

解の公式が何のことなのかはご自分で調べて頂くとして…。
当てずっぽうに複雑な問題を解いていたら効率が悪いので、因数分解して問題の構成要素を明らかにしてから、解答を考えるのです。これは、数学だけではなく日常の問題でも同じことです。

日常の問題と因数分解

では、ここからは日常の問題に因数分解の考え方をどう活かすのかを説明していきます。

例えば、ある会社の売上高が下がっているとしましょう。なぜ売上高が下がっているのか原因を知りたいですよね?そんな時に因数分解が使えます。少し岡崎さんと内山さんにやってもらいましょう。

岡崎:「まず売上高は『単価』と『数量』に因数分解出来るな」

内山:「『数量』の部分は更に『既存客の購入数』と『新規客の購入数』に分解出来そうですね」

このように因数分解をすると、売上が下がっている原因が「単価なのか?」「既存客の購入数なのか?」「新規客の購入数なのか?」を調べることが出来るようになります。ただ漠然と「何で売上が下がったのか?」と考えるよりも、問題の原因が探りやすくなります。複雑な問題ほど因数分解の能力が重要になってくるので、是非身に付けてみて下さい。

第3章 グルーピング ~論点をまとめて頭の中を整理しよう~

今回のテーマは論点を整理するために必要な『グルーピング』についてです。グルーピングを行うと問題の論点が整理できる、漏れやダブりが無くなる、優先順位付けが出来るなどのメリットがあります。今回はグルーピングの目的とその方法について解説をしていきます。

グルーピングって何ですか?

では、まず『グルーピング』とは具体的に何をするかについて話をします。下の例を見て下さい。

ある会社で営業会議が行われました。議題は「売上が減少しているのはなぜか?」です。会議の中で、「売上が減少している原因はこれだと思う」という意見をメンバーから出してもらいました。すると、こんな意見が出ました。

<売上が減少している原因は…>

①競合会社よりうちの商品が高い
②広告のインパクトが弱い(心に残らない)
③新商品がここ数ヵ月出ていない
④営業部門の人員が足りず、十分な営業活動が出来ない
⑤広告を打つ回数が減っている
⑥ウチの会社は生産コストが高い
⑦他の会社と同じような商品ばかり出している
⑧営業のセールストークが下手
⑨商品のキャッチコピーが弱い

このようにいくつか意見が出たとしましょう。これを…

<広告面の原因>
②広告のインパクトが弱い(心に残らない)
⑤広告を打つ回数が減っている
⑧商品のキャッチコピーが弱い

<商品面の原因>
③新商品がここ数ヵ月出ていない
⑦他の会社と同じような商品ばかり出している

<価格面の原因>
①競合会社よりうちの商品が高い
⑥ウチの会社は生産コストが高い

<人の面の原因>
④営業部門の人員が足りず、十分な営業活動が出来ない
⑧営業のセールストークが下手

というように、より大きな分類で括って整理していく作業が『グルーピング』です。

岡崎:「何かしらの共通点を見つけて整理していくってことだな」

グルーピングの目的

このグルーピングという作業は何のためにやるのか?その説明をしていきます。

1)論点を整理する

グルーピングを行うと論点が整理され、問題の原因追及が行い易くなります。
例えば、上の例で言うと、グルーピング前は1度に9個の原因が出てくるので、頭の中がごちゃごちゃになります。でも、グルーピングを行っておくと、とりあえず大きく分けて4つの原因に分かれるので、論点が絞り込まれてきます。

2)考える優先順位を付ける

1)に関係してきますが、グルーピングを行っておくと優先順位が付けやすいです。例えば、「まずは「広告面の問題」を考えてその次に「価格面」考えて、「人の面」は最後でもいいな」というような感じで優先順位を付けて物事が考えられます。

3)ダブリを無くす

グルーピングをして整理を行うと、「これと、これは同じことだね」というダブリに気が付くことがあります。上の例で行けば、<広告面>の「②広告のインパクトが弱い(心に残らない)」と「商品のキャッチコピーが弱い」がほぼ同じようなことを言っています。ダブリがなくなれば、同じような問題を何度も考える必要が無くなります。

内山:「なるほど~。グルーピングが上手く出来れば効率良く物事を考えられるようになりそうですね」

岡崎:「あと、会議をやるときに問題のグルーピングが上手く出来ていると議論がとっ散らからずに会議がスムーズに進むな」

グルーピングのやり方

最後にグルーピングのやり方についての話をします。

STEP1 とりあえず思いついたことを書く

まずこれやって下さい。頭の中だけで考えるとそのうちわけが分からなくなるので、どんな簡単なことでも紙やホワイトボードに書き出しましょう。ポストイットとかを使うのもお勧めです。後でグループごとに分ける作業が楽になります。

STEP2 グループごとに分けてみる

項目の書き出しが終わったらグループ分けです。最初はあまり難しく考えなくて良いので、「なんとなく、これとこれは同じグループな気がする」とか「同じキーワードが書いてあるから」とかそんな感じで分けてみて下さい。

STEP3 同じことが書いてあれば統一する

多分グループ分けを始めると「これと、これは同じことじゃない?」という項目が出てきます。そういう場合は一本化してしまいましょう。

STEP4 グルーピングの切り口をあれこれ変えてみる

STEP3まで出来れば頭の中は整理されてくるので、ここで止めてもOKですが、「折角なんで、もう少しちゃんとやってみよう」という場合は、このステップに進んで下さい。切り口を変えると違う考えが色々出てきたりします。

岡崎:「グルーピングも普段のトレーニングが重要なので、常に意識してやるようにしてみて下さい」

第4章 因果関係と相関関係 ~それって本当に原因ですか?~

今回は『因果関係』と『相関関係』の話です。

内山:「どちらも良く聞く言葉ですけど、混同しやすくてややこしいですよね」

岡崎:「だから今回のテーマで2つの違いを改めて知っておこう!」

因果関係と相関関係

では、まず「因果関係」と「相関関係」の言葉の定義を簡単に説明しておきましょう。

<因果関係>

『Aが発生したことによって、Bが起こると言い切れるもの(原因と結果の関係があるもの)。A→Bの関係になっているもの』

こうやって書かれると分からないですよね?なので、例をあげると…
交通事故件数と交通事故死亡者数の関係には因果関係があります。

「交通事故が起きるから→交通事故死亡者が起きる」わけです。逆に言ってしまえば、交通事故が起きなければ交通事故死亡者も出ないわけです。

また、因果関係では「A→B」の関係が一方通行です。どういうことかというと、「交通事故が起きるから→交通事故死亡者が出る」は成り立ちますが、逆は成り立たないです。(これを不可逆性と言います)

これが、「因果関係」です。

内山:「Aが起きたからBが起きたと『言い切れるもの』が因果関係ですね」

<相関関係>

『Aが変化したらBも変化するという関係。だだし、Aが変化したことによってBも変化するとは言い切れないもの』

これも言葉だけだと分からないので、例をあげます。
例えば、「車の保有台数」と「交通事故」の関係は相関関係です。

「車の保有台数の増加に伴って、交通事故も増加する」という関係は存在したとしても、必ずしも「車の保有台数の増加」が交通事故の原因だとは言い切れないですよね?

これが相関関係です。

岡崎:「関係がありそうだけど、必ずしもAが変化したからといってBが変化するとは『言い切れない』ものが相関関係だな」

因果関係は相関関係の一部

さて、ここまで読んで「因果関係と相関関係って同じように感じるな…」と思った方もいるかもしれません。

そうです。実は因果関係と相関関係は元々同じものです。どういうことかと言うと、「因果関係は相関関係の一部」です。つまり、因果関係とは相関関係の中で「AだからBが起こる」というメカニズムがはっきり分かっているもののことを言います。だから、「因果関係にある要素Aと要素Bは相関関係にもある」と言えますが、「要素Aと要素Bが相関関係にあるからと言って、この2つが因果関係である」とは言えません。

内山:「相関関係の中から厳しい審査を潜り抜けた選ばれし者が因果関係になるってことですね」

何が言いたいのかというと、
「2つの出来事や要素が関連しているからといって、必ずしもその2つが原因と結果の関係にあるとは限りませんよ」
「要素Aを変化させたら要素Bも変化したから、要素Bの原因は要素Aだ!と安易に考えてはいけませんよ」
ということです。

世の中には一見「因果関係(原因と結果)」と思われていることが、実は「相関関係」にあることがよくあります。
よくある「一見因果関係があるように見えるけど、よく考えたら相関関係」な事例を少しあげます。

よくある事例

①「毎朝子供に朝食を食べさせれば成績が上がる?」

まずこれです。毎朝朝食を食べる家庭の子供の成績と食べない家庭の子供の成績を比較して「ほら、朝食食べる子供の方が成績いいでしょ?だから、お宅のお子さんの成績が上がらないのは朝食を食べさせていないからですよ!」という主張です。

これですが、別に「朝食」と「成績」に因果関係はありません。ただ、相関関係が存在するのみです。じゃあ、朝食食べなかったら成績が上がらないのかって言ったらそうじゃないですよね?この場合は、朝食を毎朝食べさせる→規則正しい生活を送らせる→毎日勉強時間を確保させる→成績が上がる。というロジックが働いているように思います。だから、成績が上がった原因は「勉強時間を確保した」からであって、「朝食を食べた」からではありません。

②「毎日健康サプリを飲んだから、毎日元気?」

これもよくありますね。「毎日サプリを飲んだ人と飲んでいない人の血糖値を比較して…」みたいなやつです。これも、大概因果関係はないです。そもそも健康サプリを毎日飲むような人は健康に対する意識が高いですし、規則正しい生活を送っています。食生活にも気を付けるでしょう。だから、健康サプリが健康になった原因とは言い切れません。

③「トイレを掃除したら会社の業績が上がる?」

最後はこれです。「うちの会社は社長自ら毎朝トイレを掃除するようになったら、業績が急上昇!!」みたいな話がよくありますが、別に会社の業績とトイレ掃除に因果関係はありません。この場合は、社長がトイレを掃除する→従業員も掃除をする→環境が良くなる→士気向上→従業員が積極的に→改善のアクションを取る→業績アップというメカニズムが働いているのであって、トイレ掃除が原因で業績がアップしたわけではないです。

このような感じで他にも色々事例はあります。色々探してみると面白いです。ただ、一つ言っておきたいのは、別に私は「因果関係=良いもの(意味あり)」「相関関係=悪いもの(意味なし)」と言っているわけではないです。朝食を食べることも、サプリを飲むことも、トイレ掃除も非常にいいことです。だからやって頂きたいです。効果も出ると思います。ただ、安易に相関関係を因果関係と思い込んで、「じゃあ、これだけやってればいいんだな」と考えないで頂きたいということです。

内山:「一見因果関係があるように言われていることでも、『本当にそれって因果関係か?』って考えてみることが大切ですね」