スポンサーリンク

【コンテナ物流編】世界を変えた魔法の箱(全6章)

連載記事
スポンサーリンク

20世紀には産業や社会を大きく変える発明が数多くありました。その中でも世界中の物流を大きく変えて、グローバル化を促進する要因となったものがコンテナを使った物流システムです。

今回の連載記事は世界を大きく変えた魔法の箱「コンテナ」とそれを使った物流システムがテーマです。

第1章 20世紀の大発明

内山:「こんにちは~」

岡崎:「こんにちは~。って、何だその大荷物は?」

内山:「ここに来る途中でユニクロに寄ったらつい沢山買い物しちゃいました。安いですからね…」

岡崎:「衣料品は海外製が多いから昔と比べるとかなり安く買えるようになったよな」

内山:「衣料品に限らず輸入製品は安くなりましたよね。前にうちのじいちゃんが『今は輸入品が安くて良いなぁ』ってしみじみ言ってました。だけど、なんで安くなったんですかね?やっぱり貿易自由化とかの関係ですかね?」

20世紀の大発明

輸入品が安く買えるようになった理由は内山さんが言うように貿易の自由化で関税が安くなった・無くなったという影響も大きいですが、もう一つ重要な要因があります。実は20世紀の後半にものすごい大発明が行われたんですよ。2人は20世紀の大発明というと、何を思い浮かべますか?

内山:「コンピューターとかインターネット」

岡崎:「原子力も20世紀の大発明だよな」

まあ、20世紀の大発明というと普通はそのあたりを思い浮かべますよね。でも、地味だけどそれらに匹敵するくらいの影響力がある発明品がまだあるんです。

内山:「何ですか?」

「コンテナ」です。

内山:「コンテナ?コンテナって船やトラックに積まれているあのコンテナですか?」

そうです。そして、輸入品が安くなったのはこの「コンテナ」のお陰です。それどころか、コンテナは今の産業構造や世界経済・社会の変化にも大きな影響を与えました。その影響力たるやコンピューター・インターネット・原子力並みです。

コンテナの影響力を知ったらこれからコンテナを見る目が変わりますよ。もう、コンテナを運んでいるトラックのドライバーさんに「ありがとうございます!」って思わず言いたくなるくらいに。

第2章 コンテナ登場前の物流

コンテナ物流について詳しく説明をしていく前に、まずはコンテナが登場する前の物流がどんな様子だったかを説明しておきたいと思います。コンテナ登場前の物流は極めて労働集約的で効率も悪いものでした。具体的にどうなったのかをこれから説明していきます。

人海戦術での荷役作業

荷物を船やトラックに載せる作業のことを「荷役作業」と言いますが、コンテナ登場前は荷役をえっちらおっちら人力で行っていました。トラックはまだ良いですが、船は大変でした。膨大な量の荷物を一つ一つ人力で船に積み込むわけですからね…。ですから、船の場合は何十人の人で頑張って作業をしても積み込みが完了するまでに何日も掛かったりしていました。

内山:「機械化はしていなかったんですか?」

クレーンやフォークリフトも使ってはいましたが、船の中は狭いので最終的には人間が作業をすることになってしまうんです。だから、とにかく大変です。

岡崎:「重労働だから怪我をしたり身体を壊す人も多かったみたいだしな」

このような感じで荷役作業をしていたので、人件費がものすごく掛かります。一説によると当時の物流費の半分近くは人件費だったそうです。それに、港への停泊時間も長くなるので、停泊料も多く掛かってしまいます。

低積載率での輸送

コンテナ登場前は荷役コストに加えて船の積載率も悪い状態でした。

岡崎:「形も重さもバラバラの荷物を積むから積載率も悪くなるよな」

そうです。荷物の形が違うとデッドスペースが出来てスペースが無駄になりますし、重さが違うと段積みが出来ないのでそこでもスペースが無駄になってしまいます。船1隻に対して1種類の荷物のみを積むことが出来ればいいですが、なかなかそんなに都合よくはいきません。

内山:「積載率が悪いまま運航したら輸送費も高くなってしまいますね」

だから、コンテナが登場する前の物流費は今とは比べ物にならないくらい高かったんです。コンテナが登場して普及し始めるのは1960年代からなので、60年代の前半までは世界中の物流がこのような感じでした。


第3章 コンテナ登場で何が変わったのか?

第2章で説明したようにコンテナが登場する前の物流は効率が悪い状態でした。しかし、1960年代にコンテナが登場したことにより、その効率の悪さが劇的に改善され始めました。

荷役時間の削減

コンテナの登場でまず変わったのは荷役作業。特に船に荷物を積み込む港湾荷役の分野です。

それまで船積みを行う際は荷物を1つ1つ人間が人海戦術で運んでいましたが、コンテナを使うことで一気にまとめて荷物を積み込めるようになったので、劇的に荷役時間が削減されました。

岡崎:「仮に100個の荷物を船に積み込む場合、人間がやっていたら100往復しないといけないけど、100個の荷物を1本のコンテナに詰めれば1往復で済むからな」

荷役時間が減れば荷役に掛かる人件費も減ります。海運は一度に積み込む荷物の量が多いのでその効果は絶大です。

内山:「陸運の場合はどうだったんですか?」

もちろん陸運にも効果はありました。鉄道は船と一緒でコンテナを積み下ろしするだけで荷役が終わりますし、トラックも積み込みには時間が掛かりますが、荷降ろしは港や駅でコンテナを降ろすだけで済むので一瞬で荷降ろしが終わるようになりました。

このように荷役時間が減ったことによって物流費の多くを占めていた荷役に掛かるコストが大幅に減ることになったのです。

積載率の向上

コンテナを使うことによって、積載率も大幅に上がりました。

岡崎:「同じような大きさの箱を積み込んでいくだけだからな」

内山:「ずっと同じ形のブロックを組み合わせていくテトリスのようなものですね」

そうです。テトリスも長いブロック1種類だけだったら、画面いっぱいに隙間なくブロックを詰め込むことが出来ますよね?あれと同じです。

そして、積載率が上がればその分重量当りや容積当りのコストが低くなるので、運賃も安く設定出来るようになりました。

稼働率の向上

岡崎:「荷役時間が減れば船やトラックの稼働率も上がるよな?これもやっぱりメリットかな?」

はい。稼働率が上がることも大きなメリットですね。荷役時間が減れば船やトラック・鉄道の待機時間が少なくなるので運行回数を増やすことが出来ます。そうすると1運行当りのコストが下がることになりますからね。

その他の効果

内山:「他には何か何かありますか?」

そうですね…。コスト面の話で言えば、船を港に泊めておく時間が短くなるので停泊料が少なくて済むとか、積み荷がコンテナに守られて破損しなくなるので保険料が少なるなるとかですかね。

岡崎:「荷役待ちで荷物を一時保管する必要も無くなるから保管料も減るだろ?」

保管料も下がりますね。あとはコスト面では無いですが、安全面の効果もあります。コンテナを使って荷物を積むことによって荷崩れなどの危険が無くなって作業の安全性も上がりました。

内山:「そっか、コストが減っただけじゃなくて安全に輸送が出来るようにもなったんだ」

コンテナが登場したことによってこれらの効果が得られるようになり、物流費はコンテナを使用する前と比べて劇的に下がることになりました。そして、物流費が下がったことによって、世界の経済・産業に大きな変化が現れるようになったのです。