【フォートナイト編】新しいゲームのビジネスモデル(全5章)

フォートナイト編 連載記事

※本記事は2019年4月から5月までメルマガで配信した記事の内容を再構成したものです。

第1章 ゲーム業界の常識を変えたゲーム

今回の連載記事のテーマは2017年に登場し、世界中で人気を誇ったゲーム「フォートナイト」についてです。フォートナイトはゲームの内容だけでなく、そのビジネスモデルや戦略も非常に興味深いので、今回の連載記事ではなぜフォートナイトがここまで人気になり、高い収益を上げているのかについて迫ってみたいと思います。

フォートナイトとは?

2人はフォートナイトというゲームを知っていますか?

内山:「もちろん。世界的大ヒットゲームですからね」

岡崎:「何それ?」

内山:「フォートナイトをご存じない?あれだけ有名なのに…」

岡崎:「だって俺ゲームやらないもん」

フォートナイトを知らない岡崎さんのためにまずはフォートナイトがどんなゲームか説明します。フォートナイトは2017年にエピック・ゲームズというアメリカの会社から発売されたゲームです。全世界でのプレイヤー数は2億人を超え、欧米では社会現象にもなったゲームです。公式サイトはこちらです。

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岡崎:「ん?このゲーム見たことあるぞ。ネットの対戦プレイでみんなでドンパチ打ち合いして、最後に生き残った奴が勝ちってゲームだろ?」

内山:「あれ?知ってるじゃないですか」

岡崎:「前に親戚の子供がやってるのを見たことがあるのを思い出した。だけど、これ世界で2億人もの人が買ったのか?」

あ、岡崎さん。このゲームはみんな「買った」わけではないです。

岡崎:「へ?どういうこと??」

基本プレイが無料だから課金せずに楽しめる

フォートナイトは無料でプレイ出来るんですよ。そして、この「基本プレイ無料」という部分が非常に画期的でした。

岡崎:「何で?無料のゲームなんて今はたくさんあるだろ?スマホゲームなんて最初無料でプレイさせて、後で課金で稼ぐビジネスモデルだろ?それと何か違いがあるの?」

あります。今までの無料ゲームは課金しないと「強いアイテムが取れない」とか「ゲームの進行が遅くなる」など、何かしらの機能的な制約がありましたよね?

岡崎:「そうみたいだな。だから強くなりたい人とかもっとゲームしたい人は課金してたわけだな」

ところが、フォートナイトにはそれがありません。課金要素はありますけど、別に課金しなくても何ら問題なくゲームは楽しめます。

岡崎:「え?じゃあ、どうやって収益得てるんだ?」

スキンというゲーム内で使えるコスチュームやエモートと呼ばれるゲーム内で使える挨拶やダンスなどの特殊な動きに課金させて収益を得ています。

岡崎:「そのコスチュームやエモートを使うと何か変わるの?」

見た目が変わります。

岡崎:「それは言われなくても分かるわ…。他には?」

それオンリーです。別にコスチューム変えてもキャラクターが強くなったりはしません。

岡崎:「何それ?そんなので課金するやついるの?」

内山:「と思いますよね?だけど、フォートナイトは2018年の1年間で24億ドルの売上を記録しました。これはゲームの年間売上額としては過去最高額だそうです。ちなみに、2019年もゲーム売上第1位です」

岡崎:「マジで?」

どうしてそうなったのかビジネスとして興味ありますよね?

岡崎:「マジで?」

それでは、次からはゲーム業界の常識を変えてしまったフォートナイトのビジネスモデルに迫っていきたいと思います。

第2章 フリーミアムモデルで稼ぐ

フォートナイトは基本プレイを無料にし、その後にコスチュームなどへの課金によって稼ぐという「フリーミアムモデル」で収益をあげています。今回はフォートナイトが採用しているフリーミアムモデルを成功させるためのポイントについて考えていきたいと思います。

フリーミアムモデルで稼ぐフォートナイト

フォートナイトは基本プレイを無料で提供し、追加機能であるコスチュームやエモートを有料で販売することで収益を得ているわけですが、このように基本機能を無料で提供して、その後追加の機能や特別な機能を有料で提供するビジネスモデルのことを何と呼ぶでしょうか?

岡崎:「フリーミアムモデルだろ?」

そうです。WEBサービスなどでは広く採用されていますね。有名なところでいくと、エバーノートやドロップボックス、クックパットなどがフリーミアムモデルを採用しています。

内山:「無料のサービスで撒き餌をして、有料サービスで顧客を釣り上げるという分かり易いビジネスモデルですよね」

言い方が少々引っ掛かりますが、そういうことですね。単純なビジネスモデルなので、変動費がほとんど掛からないWEBサービスなどでは採用されやすいですね。とはいうものの、実際に収益を上げるためには工夫が必要です。

フリーミアムモデルを成功させるためのポイント

では、ここからはフォートナイトがどうやってフリーミアムモデルを成功させていったのかを考えていきましょう。キーワードは「集客」と「育成」です。

内山:「『集客』と『育成』ですか…」

まず「集客」についてですが、フリーミアムモデルでは、まず無料サービスを利用してくれるユーザーをどれだけ多く集められるかということがポイントになります。なぜかと言うと、フリーミアムのサービスで実際に有料のサービスを利用してくれるユーザーはユーザー全体の数%と言われているからです。

岡崎:「仮に有料ユーザーの数が全体の5%だとしたら、10人の有料ユーザーを獲得するためには200人のユーザーを集めないといけないってことだな」

内山:「中々大変ですね…」

集客が上手くいったからと言って安心してはいけません。しっかりとビジネスとして収益を確保するためには無料ユーザーが有料のサービスを使ってくれるように仕組んでいかなければいけません。これが「育成」です。

岡崎:「フォートナイトはその2つを上手くやったからここまで成功出来たと?」

そう思います。

岡崎:「具体的にはどんなことをやったんだ?」

フォートナイトが具体的にどのようなことをやったのかについては次章以降で説明していきます。

第3章 新興メディアを利用した集客

知名度を上げて多くのプレイヤーを確保しろ

フリーミアムモデルを成功させるためには、まずは多くのユーザーを確保しなければなりません。では、フォートナイトはどのようにしてプレイヤーを確保していったのでしょうか?

岡崎:「オーソドックスな方法だと、CMをガンガン打つって方法があるけど、フォートナイトのCMなんてあまり見た記憶が無いぞ」

内山:「CM自体はやっていましたけど、CMが放送されたころにはもう人気が出てましたからね」

動画配信を利用した集客

確かに今までのゲームのようにTVCMを使った集客はあまりやっていない印象ですね。では、どのような方法で集客を行ったのかというと、フォートナイトはYouTubeやTwichといった動画配信サービスを上手に使って知名度と人気を上げて多くのプレイヤーを集めました。

岡崎:「動画配信使うってどうやって?」

具体的には「ゲーム実況」というジャンルの動画配信を上手く使いました。

岡崎:「ゲーム実況って何?」

内山:「ゲームをプレイしている様子を配信するジャンルですね」

岡崎:「そんなのあるの?だけど、人がゲームをやってる様子を見ることなんてそんなに需要あるのか?」

内山:「スポーツの実況みたいな感じで、ゲーム実況というのは動画配信の世界では一大ジャンルを築いています」

岡崎:「そうなのか…。おじさんにはよく分からない世界になってきたな…」

動画配信で人気が拡散するまでの流れ

では、動画配信を使ってフォートナイトの知名度と人気がどのように上がっていったのかを説明します。

まずゲーム実況の世界で一部の配信者たちがリリース直後からプレイしている様子を配信し始めました。この人たちを1次配信者とします。

1次配信者の人たちが動画配信をすると、そのフォロワーの中から実際のプレイの様子を見て『面白そうだな。自分もやってみよう』と思う人が現れてきます。その中には今まで別のゲームの実況をしていた人たちもいて、その人たちも人気にあやかろうと、自分たちもフォートナイトの配信を始めるようになります。1次配信者の影響を受けて2次配信者が生まれるわけですね。

2次配信者にもフォロワーがついているので、今度はそのフォロワーたちが2次配信者の影響を受けてゲームを始めます。そうやって人気が拡散していくと、そのうち「みんなやっている!」という状態になって人気が爆発します。

こうなると強いですよ。学校とか仲間内で「フォートナイトって知ってる?」「え?知らないの??めっちゃ人気でみんなやってるよ!だから、お前もやろうよ!!」という状態になって、今までゲームをあまりやらなかった層の人たちも巻き込み始めますからね。

岡崎:「なるほど。そういう流れを生み出してプレイヤーを確保したわけか」

まあ、あくまで推測ではありますけどね。ただ、フォートナイトは動画配信という新しいメディアを上手く使ったと思いますよ。拡散効果もありますし、何より実際のプレイの様子を具体的に伝えることが出来ますからね。

無料だから拡散出来た

内山:「だけど、そうやって考えるとフォートナイトが無料であることの効果って大きいですよね」

そうですね。無料であれば「面白そうだから、ちょっと試しにやってみよう」といった感じで手軽に始められますからね。そうやって、手軽に始められるゲームだったからこそ、人気が拡散して多くのプレイヤーを集めることが出来たんだと思います。

岡崎:「上手いこと考えたな」

しかし、プレイヤーを集めてもそのプレイヤーが課金してくれるように育てなければ収益は得られません。次の章は次の段階であるプレイヤーの「育成」がテーマです。