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規模の経済性 ~量が増えればコストが下がる仕組み~

けいなび研修
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皆さんは「規模の経済性」という言葉をご存じでしょうか?経済・経営の世界ではよく使われる言葉です。このブログの記事でも度々登場する用語ですし、よく知られている言葉ではありますが、今回の記事では改めて「規模の経済」について解説していきたいと思います。

規模の経済性って何?

「規模の経済性」とは簡単に言ってしまうと、「量が増えるにつれてコストが安くなる効果」のことです。一般的には「スケールメリット」と表現した方が分かり易いかもしれませんね。量が増えるにつれてコストが安くなることは感覚的には何となく分かりますが、なぜそうなるのでしょうか?

どうして量が増えるとコストが安くなるのか

ここからは量が増えるとコストが安くなる仕組みについて解説していきます。規模の経済性を理解するには、まず少しだけ会計の知識が必要です。会計の「固定費」という概念を知っておいて下さい。「固定費って何?」という方はこちらの記事で固定費について知ってから戻って来てください。

変動費と固定費 固変分析で経営状態を的確に把握する
損益を分析する際に費用を「変動費」と「固定費」に分解して分析する固変分析という方法があります。費用を変動費と固定費に分けて考えると的確に経営状態が把握出来るようになります。ということで、今回は「変動費」と「固定費」について説明していきます。

では、規模の経済性の仕組みに入ります。

説明を分かり易くするために、とある自動車工場に登場してもらいましょう。この自動車工場では月に10台の自動車を生産しています。そして、この工場では月に1,000万円の固定費が掛かるとします。このとき、自動車1台の生産に掛かるコストは1,000万円÷10台=100万円です。月に10台の車を生産しているうちは1台当たりの生産コストは100万円ですが、もし、増産をして15台生産出来るようになったらどうなるでしょうか?ちなみに、この工場では頑張って今の人員数と設備で増産対応するので、固定費の増加は無いものとします。

すると、自動車1台の生産に掛かるコストは1,000万円÷15台≒67万円になります。コストが下がりましたね。これが規模の経済性の仕組みです。つまり、生産量が増えれば製品1単位当りが負担する固定費も減ることになるので、コストが下がるわけです。

ちなみに、生産量が増えることで、製品1単位当りの固定費が下がることを「固定費が薄まる」と言ったりもします。規模の経済性と聞くと言葉は難しく聞こえますが、その理屈は非常に簡単です。


規模の経済性が働くことによる恩恵

私たちの生活は規模の経済性の恩恵を大きく受けています。例えば、私たちが普段使っているスマホですが、これも規模の経済性があらゆるところで働いているから、私たちにも手が届く価格で買うことができます。

スマホを作るためには、CPU、ディスプレイなどなど様々な部品が必要ですが、スマホが世界中に普及したおかげで大量に生産されるようになりました。大量に作られれば部品の価格は下がります。そして、その部品を組み立ててスマホは作られますが、組み立てに掛かるコストも生産数に比例して下がります。

規模の経済性が働くのは製造の分野だけではありません。部品や製品を運ぶ物流の世界でも規模の経済性は働きます。このブログに掲載している「コンテナ物流編」にも書きましたが、コンテナを使った大量輸送を行うことで、物流コストは劇的に下がりました。

【コンテナ物流編】世界を変えた魔法の箱(全6章)
20世紀には産業や社会を大きく変える発明が数多くありました。その中でも世界中の物流を大きく変えて、グローバル化を促進する要因となったものがコンテナを使った物流システムです。今回の連載記事は世界を大きく変えた魔法の箱「コンテナ」とそれを使った物流システムがテーマです。

実際にスマホを私たちに販売する段階でも規模の経済性は働きます。お店で大量にものを売ることが出来れば、その分店員さんの人件費や店舗に掛かる固定費が薄まるので、販売価格を下げても利益が確保出来るようになります。

このようにスマホひとつとってもあらゆるところで規模の経済性は働いています。

規模の経済性の限界

さて、これまで経済活動を支えてきた規模の経済性ですが、近年では限界を迎えています。主な理由は消費者ニーズの多様化です。昔は誰もが同じようなものを欲しがったので、大量生産が出来て規模の経済性も働きやすかったのですが、今はニーズが多様化したため、昔のような大量生産は難しくなり、規模の経済性も昔ほど働かなくなってきました。そのような状況の中で、どのように規模の経済性を働かせて、コストの削減を図っていくのかがこれからの大きな課題です。