損益を分析する際に費用を「変動費」と「固定費」に分解して分析する固変分析という方法があります。費用を変動費と固定費に分けて考えると的確に経営状態が把握出来るようになります。ということで、今回は「変動費」と「固定費」について説明していきます。
変動費とは? ~売上に比例して変動する費用~
変動費とは売上の増減に比例して変動する費用のことです。変動する費用だから変動費です。仕入や販売手数料、商品の生産や販売に伴う消耗品などが変動費に該当します。
ラーメン屋さんを例に取ると、ラーメンの材料となる麺や肉・野菜などの食材の購入費や割り箸やお手拭きなどの消耗品が変動費になります。
固定費とは? ~常に一定額発生する費用~
一方、固定費とは売上の増減に関係なく常に一定額発生する費用のことです。常に一定額発生するので固定費です。人件費や水道光熱費、家賃、リース料、広告費、減価償却費などが該当します。
変動費と同じようにラーメン屋さんの例で説明をすると、ラーメン屋さんで働く従業員さんの給料、電気・ガス・水道代、テナントの賃料、調理用設備のリース料、雑誌広告の料金などが固定費です。
変動費と固定費どう分ける? ~変動費と固定費の分け方に迷ったときは?~
さて、変動費と固定費の意味が分かったら次は実際の費用を変動費と固定費に分けるわけですが、ここが問題です。
というのも、現実の経営の世界では「これは完全に変動費」「これは固定費」と言い切れる費用の方が少ないからです。例えば、水道光熱費ですが、水道光熱費というのは実は毎月必ず一定額というわけではなく、使用量に応じて料金が変わることがあります。人件費もそうです。残業などを含めると毎月給与額は変わってきます。
このように変動費と固定費の中間的な性格を持った費用のことを準固定費と呼んだりするのですが、実務上(特に中小企業の場合は)は細かな変動は気にしないことにしましょう。「水道光熱費の変動分は…」などと考えていたら時間ばかり掛かってしまいます。
ですので、変動費と固定費を分ける場合は予め「この費用は変動費とする!」「この費用は固定費とする!」と社内ルールを決めてしまって、そのルールにもとづいて変動費と固定費を分けましょう。このように、変動費とする費用科目と固定費とする費用科目を予め決めてしまって、それにもとづいて分類する方法は「勘定科目法」と呼ばれ、最も一般的に使われている方法です。
私の場合は仕入・消耗品・運賃・販売手数料などを変動費としてその他はすべて固定費として分類することが多いです。
実は、「回帰分析法(最小二乗法)」という統計的手法を使えば厳密に変動費と固定費を分けることが出来るのですが、計算がややこしいので(エクセルを使えば簡単に計算できますが…)最初は勘定科目法で分類してもらって、「もっと厳密に分けたい」というニーズがあるのであれば回帰分析法にチャレンジして頂くほうが良いと思います。
(Toyama Suguru)
中小企業診断士事務所 マスタープランズ・コンサルティング代表
中小企業診断士。経営コンサルタントとして中小企業の経営コンサルティングを行っています。また、企業や商工会議所などでセミナー・講演会活動も行っています。著書:「小さな会社はまず何をすればいいの?~新米社長岡崎の10の物語~」
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